桜の国
曇天に散りゆく桜も、それは雨がこの季節だけその姿形に化けているように思えばとても素敵に思えて、大学時代の友人と近所の公園に来た。
スガヤコーヒーで買った菜の花チキンカレーを食べようと座れるところを探していると、小さな自転車を押しながら小学生の女の子が近づいてきた。仮にNちゃんとして、私はY。
N「どうしましたか?」
Y「今ね、濡れずに座ってごはん食べられる場所を探してるんだよ」
N「それなら、一番いいとこ知ってる!ここ!」
25歳のふたりと10やそこらの女の子との活発で詩的なひとときが始まった。
あやとりやなわとび、
かくれんぼや桜集め。
落ちた花が地面の草に乗る様を見ては、
「見て見て!地面に桜が咲いてる!」
か弱くも元気な指先にくっついた花びらに気づけば、
「ねえ、どう?桜のマニキュア!」
ずっと欲しくて、でもそれが何だったのかがずっと思い出せなかった。
花の雨の公園で出会った女の子が教えてくれた。
きっと花の妖精なんだろう。また1年後に来てみよう。